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基町のクス
  • 中区基町
  • 爆心地からの距離 1010m

被爆クス 2000/9/6



 太田川土手下の駐車場の中に立っている大きなクスで、高さは10m余りあります。原爆で幹の下部は焼けてえぐれ、上部は折れましたが、元気に枝を伸ばし続けています。

原爆で焼けてえぐれている 2000/9/6

 被爆して生き残った樹木の中では、クスとエノキが最も目立ちます。クスやエノキは丈夫で寿命が長いそうなので、その生命力で原爆に打ち勝ったのでしょう。

2000/9/6

 特に、基町周辺は被爆クスがよく生き残っており、近くの高層アパート群の中(爆心地からl・11km)には、高さが20m余りもある見事なものがあります。また、広島城内堀の北東角(爆心地からl・12km)にある被爆クスも原爆で幹の上部が折れながら元気に生き続けています。

幹の中ほど 2000/9/6

 ここからほど近い太田川土手のそばには、絵本やアニメになった枯死したエノキがあります。このエノキは原爆で焼けて、幹に空洞ができましたが、生き残っていました。1979年(昭和54年)にエノキのことを知った基町小学校の児童たちは一生懸命に世話をしましたが、1984年(昭和59年)8月の台風10号の強風のため、地上4mの幹の部分から折れてしまいました。樹医らの支援で折れた幹から一度若芽が出ましたが、結局育たずに枯死してしまい
ました。

幹の反対側 2000/9/6

 その後、心ない者のしわざで幹は根元部分から折られてしまいましたが、このエノキの種子から育った2世が元気に成長しています。(広島県原爆被害者団体協議会「ヒロシマは語る」から)